改善の前に、現在地がいる。体重計に乗るだけでは足りない。この章では、未病の領域で本当に見るべき4つの数字——歩数・身体活動量・全身持久力・睡眠——を定義し、それぞれの測り方を決める。
第2章 / 全10章
体重は測りやすい代わりに、情報量が乏しい指標です。筋肉が2kg増えて脂肪が2kg減っても、体重計は何も言いません。体組成が変わっているのに、数字は動かない。
それでも体重を見るなとは言いません。ただし単独では判断しない。この章で挙げる他の数字と並べて初めて意味を持ちます。
①歩数——最も測りやすい身体活動の代理指標。スマートフォンが勝手に測っています。日本人の平均は約7,071歩(令和6年)、推奨は8,000歩。
②週の身体活動量(メッツ・時)——歩数では拾えない自転車・水泳・筋トレを含めた総量。推奨は週23メッツ・時。計算機で積み上げられます。
③全身持久力(VO2max)——体力の総合点にもっとも近い数字。走らずに推定する方法もあります(計算機)。
④睡眠負債と社会的時差ボケ——回復の指標。ここが崩れていると、①〜③の努力は適応に変わりません(計算機)。
毎日測るべきものと、3か月ごとでいいものがあります。歩数は毎日(勝手に測れる)。睡眠は週単位。VO2maxは3か月ごと。身体活動量は月1回の棚卸し。
頻度を上げすぎると、ノイズに一喜一憂して続きません。変化が現れる速さに、測定の周期を合わせる——これが計測疲れを防ぐ唯一の方法です。
アプリを増やすほど、記録は続きません。スマートフォンの標準アプリでも、紙のノートでも構わないので、4つの数字が1か所に並ぶ状態を作ってください。並べて初めて、相関が見えます——「睡眠が短い週は、歩数も落ちている」といったことに。
38歳・男性・体重68kg・身長172cmの会社員Aさんの初期値:
| 指標 | Aさんの初期値 | 目安 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1日の歩数 | 5,400 歩 | 8,000 歩 | −2,600歩 |
| 週の身体活動量 | 13.5 メッツ・時 | 23 メッツ・時 | −9.5 |
| 推定VO2max | 36.2 | 39(18〜39歳男性) | −2.8 |
| 週の睡眠負債 | 4.5 時間 | 0 時間 | −4.5h |
4つとも「少し足りない」。これは典型的な未病のプロフィールです。破綻はしていないが、余白がない。Aさんが最初に手をつけるべきは、最も少ない労力で最も大きく動く変数——歩数です。速歩を1日20分足すだけで、週の活動量は約+10メッツ・時、目標をほぼ埋めます。
必須ではありません。歩数はスマートフォンで測れますし、VO2maxは非運動推定で概算できます。ウェアラブルの利点は安静時心拍と睡眠の自動記録ですが、なくても本サイトの計算はすべて成立します。
家庭用の体組成計は、体内の水分量に影響されて日内変動が大きく、単発の値の解釈は困難です。見るなら「同じ時刻・同じ条件で測った1か月の移動平均」を。単発の数字に意味を持たせないことが大切です。
多すぎるのが原因です。まず歩数だけにしてください。1つが3週間続いてから、2つ目を足します。
1. 最も測りやすく、かつ改善効果が見えやすい指標はどれか。
歩数はスマートフォンで自動的に測れ、増やせば週の身体活動量に直結します。最初の1つに向いています。
2. VO2maxを測る頻度として妥当なのは。
持久力の適応が数字に現れるには数週間から数か月かかります。測定周期は、変化の速さに合わせます。
3. 体重計の数字が1か月変わらなかった。正しい解釈は。
筋量増加と脂肪減少が同時に起これば、体重は動きません。単独の指標では判断しないのが原則です。